尺の名前の由来

尺の名前の由来

このページでは、尺の名前について紹介します。

A, B, C, D尺

尺の用途

A尺は上側の固定尺にあり、2乗関係の計算をする時に利用される尺です。

B尺は滑尺上にあり、2乗関係の計算をする時に利用される尺です。

C尺は滑尺上にあり、掛け算・割り算などを含め、数多くの計算をする時に利用される尺です。

D尺は下側の固定尺にあり、掛け算・割り算などを含め、数多くの計算をする時に利用される尺です。

尺名の由来

これらの尺は、計算尺の中で一番基本となる尺で、どの計算尺にもあると思います。

もともと、A, B, C, D尺と言う尺の名前は、上で述べたように「上側の固定尺にあり、2乗関係の計算をする時に利用される尺がA尺」という風に決まっていたのではなく、ただ単に位置を表す記号だったそうです。したがって、何かの省略と言うわけではなく、アルファベットの早い方から順番になっています。

計算尺の普及とともに、これらの記号がただ単に位置の記号ではなく、上で述べたような尺の名前となりました。この名前は世界で共通のものです。

K尺

尺の用途

K尺は固定尺にあり、3乗関係の計算をする時に利用される尺です。

尺名の由来

三乗は英語では「cube」といいますが、これでは頭文字をとると「C」となってしまいます。C尺は既にあるので利用することができません。そこで、ドイツ語のを利用することにしました。三乗はドイツ語で「Kubikzahl」といいます。

CI尺, DI尺等のI

尺の用途

C尺は左に1があり、右に10がありますが、CI尺はそれを反対にして右から左にメモリを振ってあります。

C尺に対応してCI尺があるように、DI尺、SI尺、TI尺、BI尺などもあります。

計算尺では、これらのメモリがなくても、C尺、D尺、S尺、T尺、B尺があれば計算することができますが、これらの尺をつけることで、計算手順を減らしたり、計算方法を単純化するといった効果があります。

尺名の由来

文献によって、Iが何の省略であるのかが違っているので、はっきりしたことは分かりません。しかし、「Inversed」「Inverse」「Inverted」などとなっていることから、このあたりの単語が省略されたことに間違いありません。

CF尺、DF尺、CIF尺のF

尺の用途

C尺やD尺で計算する際、1付近の数字では、右側に求める答えが出てくるのか、左側に求める答えが出てくるのか、見当がつかないことがあります。見当し間違えた場合、「目外れ」と言って求める答えにカーソル線を併せることができなくなってしまうことがあります。

こういったことを防ぐとともに、滑尺やカーソルの移動距離を縮めるために、ルート10あるいはπからはじまる尺が準備されています。まれに3.6から始まるものもありますが、これは1ドル360円であったことや、一周は360度であるからでしょう。

C尺に対応するものがCF尺、D尺に対応するものがDF尺、CI尺に対応するものがCIF尺です。

尺名の由来

このFは、「Folded」の省略であると言われています。

S尺、T尺、T1尺、ST尺、SI尺等

尺の用途

これらは三角関数の計算に用いられます。S尺はサイン、T尺はタンジェントの計算に用いられます。

尺名の由来

これは簡単にご想像いただけるように、S尺は「sin」, T尺は「tan」の省略です。また、これら自体も省略なので、「sine」, 「tangent」の省略というべきでしょう。

T1尺, T2尺となっているのは、タンジェントは広範囲を動くので、その範囲をできるだけカバーするようにタンジェントの尺を2本準備したためです。

SI尺、TI尺等のIは、上記で述べたIです。

ST尺は、微小の角度のサイン、タンジェントを求めるときに利用しますが、微小角度ではサインとタンジェントはほぼ同じ値をとるので、その両方を並べてST尺と言います。

L尺、Ln尺

尺の用途

L尺は常用対数や10を底とした指数の計算に利用します。

Ln尺は自然対数やeを底とした指数の計算に利用します。

尺名の由来

L尺は、「Log」に由来します。Ln尺は自然対数を表す「ln」に由来します。

対数の記号「log」や「ln」は、「logarithm」、「natural logarithm」の略です。

SH尺、TH尺

尺の用途

SH尺は双曲線関数ハイパボリックサイン(sinh)を計算するときに利用します。

TH尺は双曲線関数ハイパボリックタンジェント(tanh)を計算するときに利用します。

尺名の由来

その用途の通り、SH尺は「sinh」、TH尺は「tanh」に由来します。それぞれ英語では「hyperbolic sine」「hyperbolic tangent」といいます。

P尺

尺の用途

P尺は、sqrt(1-x2)の計算をします。具体的には、sinとtanの変換や、ピタゴラスの定理(三平方の定理)に利用します。

尺名の由来

P尺のPは、「ピタゴラス(Pythagoras)」からきています。

LL1尺、LL01尺、LL/2尺等のLL

尺の用途

これらの尺は指数対数の計算の時に利用されます。

尺名の由来

対数・指数の値のページで述べるように、これらの尺はlog(ln(x))という計算式で計算しています。これより、頭文字をとって「LL」となっています。

その後に続く数字は、順番に番号をつけています。この番号のつけ方は、計算尺のメーカーや計算尺の型によって種類があります。