計算尺って、なに?

計算って、めんどうくさい!!

みなさんは、小学校の1年生でたし算とひき算を習い、2年生でかけ算の九九を、3年生でもっと難しいかけ算と、わり算を習いましたよね。その後も、4年生、5年生と進んでいくうちに、もっと難しい計算も学校で勉強したことでしょう。そのときに、「計算って、めんどうくさいなぁ!」「自動で計算をしてくれるものがあったらいいなぁ!」って思ったことはありませんか?

「そんなの持ってるよ!」「『でんたく』があるじゃん!!」と言うかもしれませんね。

でも、でんたくができてまだ30~40年ぐらいしかたっていません。だから、おじいちゃんやおばあちゃんが若かったころは、でんたくなんてなかったんです。

でんたくがない。でも計算はめんどう。めんどう。めんどう。。。

そういうことで作られたのが「計算尺」です。「けいさんじゃく」と読みます。

計算尺は、どんなものなのでしょうか?ちょっと見てみましょう。

なんだか「『じょうぎ』のおばけ」のように見えますね。じょうぎにメモリをたくさんかきこんだように見えます。この写真には写っていませんが、実は、うらにも同じようにメモリがたくさん書きこまれています。

計算尺の得意と不得意

かけ算とわり算が得意。でもたし算とひき算が苦手。

みなさんは、たし算やひき算と、かけ算やわり算とでは、どちらが得意ですか?たし算やひき算のほうが簡単ですよね。

でも、計算尺はかけ算とわり算が得意なんです。それに対して、たし算とひき算が苦手です。というより、実は、たし算とひき算をすることはできません!!

それは、「人間はたし算とひき算が得意だから、計算尺はできなくてもいいや。むしろ、めんどうなかけ算とわり算をやってもらおう!」と計算尺を作った人が考えたからです。

おおざっぱなヤツ

計算尺は、かけ算とわり算をおおざっぱに計算します。

みなさんが算数や数学で勉強するときは、計算して出てきた数字をそのまま答えますよね。たとえば、12.3×29.4=361.62と答えると思います。

しかし、計算尺はおおざっぱです。だいたい、頭の数字3つしか答えてくれません。今回で言えば、計算尺にとっては12.3×29.4=361なのです。これはむずかしい言葉で「有効数字3ケタ(ゆうこうすうじさんけた)」で答えを出しているといいます。

どうして計算尺は「有効数字3ケタ」なのかというと、それはあまりたくさん数字を並べても、意味がないからです。たとえば、次のような問題を考えてみましょう。

「たろう君は半径1.2メートルの円形の机をペンキでぬろうと思っています。このペンキは30ミリリットルで1.5平方メートルぬることができます。たろう君はどれだけのペンキを買ってこればいいでしょうか?」

算数の問題です。ちょっとむずかしいでしょうか。いきなり答えを言うと、1.2×1.2×3.14÷1.5×30=90.432ミリリットルになります。でも、こんなに数字を5つも並べたところで、最後のほうの数字は信用できるでしょうか。たろう君はぬり方が下手で、こいところと、うすいところができるかもしれません。そうなると、90.432ミリリットルではなくて、90.332ミリリットルかもしれないし、90.253ミリリットルかもしれません。

でも、だいたい90ミリリットルぐらい必要だということに変わりはありませんよね。9と0の数字2つを信用することができるので、これを「有効数字2ケタ」といいます。こういったことがあるので、計算尺は正確に計算していなくても十分使うことができるのです。

どんなときに使うの?

計算尺は、おおざっぱにしか答えを出すことができません。だから、みなさんが「算数の宿題をやろう!」というときには使うことはできません。残念でした。

では、どんなときに計算尺を使うことができるでしょうか?それは、あまりたくさん数字を並べなくてもいいときです。たとえば、先ほどのようにペンキで机をぬるのに必要なペンキの量を計算したいときや、100メートル走をしている人の走る速さを計算したいときなどです。